蜜蜂と遠雷 〜感想〜

蜜蜂と遠雷を読みました。

この本はたしか、どこかで「他の作家が嫉妬する」や「音楽を文章でこんなにも表現できるとは!?」みたいな折込文句を見かけて購入したのですが、折込文句通りでした。読み終えて心地よい感動に包まれております。

面白いのは、音楽家たちのコンサートという短い時間での出来事を取り扱っているのに、ものすごく広い世界が広がっていることです。それぞれが演奏で表現したい世界、登場人物である亜夜の気持ちの移り変わり、権威側になった審査員たちの揺れ、そしてコンサート後の未来。これらがつぶさに表現されることで、ものすごく明度の高い世界が作り上げられてます。あまりにも鮮明に表現されるので、ほかの漫画シーンが頭のなかに浮かんできて、ここはこんな感じだな、これが漫画化されたらこんな感じかなとも楽しめました。勝手な妄想ですが、風間塵は「ボールルームへようこそ」に出てくるたたら、栄伝亜夜は「王様達のバイキング」にでてくるValkyrja、マサルはこれまた「ボールルームへようこそ」の仙石さんのビジュアルイメージです。まるで、音楽の歴史とこれからの未来を、精工な箱庭に落とし込んだような小説でした。

僕が好きなシーンは、社会人としてコンサートに出場した高島明石の第2次予選です。凡人を自称する彼の音楽家としての第一歩にあたるここのシーンは鳥肌がたちました。また、彼の「何かが上達する時というのは、階段状だ。」というセリフにも、こういう風に捉えればいいのかと感心しました。

何かが上達する時というのは、階段状だ。緩やかに坂を登るように上達する、というのはあり得ない。 弾けども弾けども足踏みばかりで、ちっとも前に進まない時がある。これがもう限界なのかと絶望する時間がいつ果てるともなく続く。 しかし、ある日突然、次の段階に上がる瞬間がやってくる。

また、亜夜、塵、マサル、奏が4人で外出してるシーンでは、天才でもウィンドーショッピングするよねと親しみを感じました。まとめると、ものすごく引き込まれる小説です。天才たちの共鳴、ピアニストが見せる世界、そして散りばめられる未来の断片。没入感間違いなしです。ぜひ読んでみてください。蜜蜂と遠雷を読んで、ここまでの情景を見せるクラシック音楽に興味が湧いてきました。クラシック音楽はイマイチ鑑賞できませんでしたが、NAXOS Japanから蜜蜂と遠雷に登場する楽曲を収めたアルバムがでるので、購入して勉強してみたいと思います。

箱庭のような世界だと僕は感じましたが、読んだ方はその感想を知りたいので気軽にコメントしてください〜。ではでは